具体的な事業の展開
推進員連絡会の開催
平成17年7月 委嘱式挙行と連絡会に「専門部会」の設置を決定。10月 研修会を実施
平成18年7月 連絡会の中に「獣医師部会」「犬の適正飼育検討部会」「地域の猫問題検討部会」を設置。「専門部会」の名称を「企画調整部会」に改称。
平成19年2月 猫の適切な飼い方講習会を一般の区民及び推進員を対象に実施
企画調整部会の開催
平成17・18年度で5回開催し、ペットの防災対策、犬の散歩マナーの啓発活動や公園内の看板、飼い主のいない猫対策用パンフレット等について検討。
獣医師部会の開催
平成18年12月 災害時の動物救護防災協定を区と締結することで合意。「感染症法」に基づく、届出基準や法定感染症が発生した場合の保健所等との連携について確認。
地域猫問題検討部会の開催とその活動
推進員の恒常的に行っている活動は飼い主のいない猫のトラブルが発生すると、保健所や区民から連絡を受けて現場に行き、「ノラ」であることの個体識別と捕獲をし、契約している動物病院で、不妊去勢手術(費用は区からの助成)を受けさせることである。その他として、平成18年9月、猫の新しい飼い主探しの取組方法について検討。保健福祉まつりへの参加内容を決定。
平成18年10月 啓発用リーフレット「猫の問題なんとかしたい!?」内容・デザイン決定。
犬の適正飼育部会の開催とその活動
平成18年8月 「ワンワン・マナー・ウォーキング(※)」の実施を企画。
啓発用ジャンパーの色・形状・デザインを検討・決定。
平成18年11月 「ワンワン・マナー・ウォーキング」の今後を検討
ワンワン・マナー・ウォーキングの実施
18年度は区立公園及び隅田川テラスなどで、3回実施。
お揃いの啓発用ジャンパーを着て、愛犬と一緒に散歩コースを歩き、犬の散歩時は“必ず引き綱をつける”“フンは必ず持ち帰る”などとマナー向上を呼びかけた。その結果、引き綱を放して犬を散歩させている人も、呼びかけに応じ引き綱をつけた。また、引き綱をしている人からは、活動に賛同が寄せられた
推進員の保健福祉まつりへの参加
平成18年11月に開催された区の保健福祉関係の最大イベントに参加。飼い主のいない猫の新しい飼い主探し、パネル展示による新しい飼い主募集」、動物愛護の啓発、猫の飼い方のアドバイス等を行い、猫に新しい飼い主が見つかる等の成果が上がった。
4.行政の側面からのサポート
地域の方々がペットに関するさまざまな問題を地域の課題と捉え、解決に向けて自主的に活動できるのであれば、行政はただ見守るだけでよいが、現段階では側面からのサポートが欠かせない。中央区保健所としては地域住民の活動意欲を引き出しながら、次のような支援を行った。
(1) 猫問題に対して
・飼い主のいない猫の去勢・不妊手術費用の助成
中央区では従前から飼い猫を対象とした助成制度を実施していたが、平成17年7月に対象を飼い主のいない猫に変更し、助成限度額も引上げた。その結果、去勢不妊手術に結びつくケースが増え、成果を上げている。
(助成限度額) オス(去勢手術)1匹あたり17,000円まで、メス(不妊手術)1匹あたり20,000円まで妊娠中メス(〃)1匹あたり25,000円まで
(対象猫) 「動物との共生推進員」が認定した飼い主がいない区内に生息する猫
(執行実績) 平成17年度(7月~)105匹(オス30、メス62、妊娠メス13) 1,878,935円
平成18年度(1月31日現在) 146匹(オス56、メス74、妊娠メス16) 2,533,908円
・東京都飼い主のいない猫との共生支援事業の指定
区内の堀留児童公園には当時12匹の飼い主がいない猫が生息していたが、猫のボランィア・近隣町会・動物との共生推進員及び区が話し合い、地域猫活動に取り組むことを決定し、H18年1月に「東京都飼い主のいない猫との共生支援事業」支援地域の指定を受けた。
・地域猫を考える集いの開催
飼い主のいない猫をめぐり、愛猫家とエサやり反対の方の参加を得て実施。関連した内容の講演の後、
猫の問題について意見交換会を実施 (平成17年1月、平成18年1月)
・啓発用リーフレットの作成
「動物との共生推進員連絡会/地域の猫問題検討部会」で編集した
リーフレット「猫の問題なんとかしたい!?」を作成(平成19年2月) (中央区HP)
(2) ペットの防災対策
・区の防災訓練参加の呼びかけ
区の防災訓練に合わせ、犬猫の同行避難訓練を実施し、防災啓発コーナーも設けて、災害時に備えた意識啓発を行っている。
・ 同行避難の検討
中央区では各小中学校等が災害時の避難所に指定されているが、ペットの避難所で受け入れについては、各避難所ごとの防災拠点運営委員会(防災区民組織代表者等の集まり)で決めることとなっている。現在、ペットの受入れ可と表明している拠点はなく、同行避難の必要性と避難所へのペット受入れについて、区から説明をし、検討を依頼している。
・「災害時における動物救護活動に関する協定」の締結
平成18年3月に 中央区獣医師会と、平成19年2月 動物との共生推進員の獣医師6名と「災害時における動物救護活動に関する協定」を締結。
・防災用品の備蓄
被災動物(犬猫)用大型ケージ21個(飼い主準備が原則だが、予備として平成18年9月に配備)
災害時動物救護用医薬品(区内開業獣医師の動物病院で災害時救護活動の一助として平成19年3月)
(3) 講習会などの実施
「飼い犬のしつけ方教室」平成17・18年度各2回
「動物愛護の講演会」平成17年10月
「猫の適切な飼い方講習会」平成19年2月
5.事業成果と今後の課題
成果
平成17年度からスタートした動物との共生推進員制度を軸とした、中央区の動物との共生推進対策は、2年を経た今、かなりの成果を上げることが出来た。未だ分析評価する段階には至っていないが、手ごたえが感じられる点を箇条書きにしてみると、
*住民の意識が変化してきた(ペット対策は地域の問題という意識の人が増えてきた)
*ペットに関しての正しい知識が浸透しつつある。
*保健所に寄せられる苦情が、少なくなり、苦情内容も変化してきた。
(表2参照:H17年は減少、H18年は減ってはいないが、苦情内容の変化あり)
課題と方向性
・飼い主のいない猫対策については、「猫の飼い主探し」と「捨て猫防止の効果的な方策」を検討する。
・犬の適正飼育対策については、
「ワンワンウオーキング」等を通じてより地域に根ざした活動に変換させていく。
「犬の登録・狂犬病予防注射済票」をより身近な所で登録や交付ができるように、区内の動物病院などへの事務委託を検討。
・ペットの防災対策については、各防災拠点運営委員会(避難所)にペットの受け可否の決定を促し、受け入れ不可の場合はペット飼っている人の避難所設置のあり方について、可の場合はペットが避難した際の避難所運営のあり方についても検討。
・区内ペットショップとの協力体制の確立
災害時にペットフード供給等についての防災協定や犬の登録の徹底や適正飼育についての普及啓発。
・学校での動物愛護
動物との共生推進員の協力を得て、区内小学校等で児童を対象とする動物愛護関連の講習会を催す。
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