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| 地域保健総合推進事業全国保健所長会協力事業 「児童虐待防止を目的とした養育支援家庭の早期発見・介入・援助のシステムづくりに関する研究」班 |
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| 鈴宮寛子(福岡市東保健所、現在早良保健所) 前坂機江(神奈川県小田原保健所、現在平塚保健所) 古屋好美(山梨県中北保健所) 鈴木俊彦(岩手県盛岡保健所) 川島ひろ子(石川県石川中央保健所) |
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| 概要: 児童虐待における保健所の役割は虐待に至らないために、虐待のリスクの高い養育支援家庭を早期発見し、援助介入することで虐待を予防することである。養育力不足家庭の早期発見と介入、援助に関する実践マニュアルやプログラムを構築を目的として、地域保健総合推進事業全国保健所長会協力事業として平成16年度から3年間実施し、その成果を紹介する。 児童虐待の事例対応では保健機関でもリスクアセスメントを行うことが重要であり、面接者の情報集の技術力向上のため、「聞き取りチェック表」を作成した。虐待死亡事例は乳幼児が半数を占めていることから、ハイリスク家庭へより早期に援助開始を行うため、産科医療機関と保健所の連携体制づくりを行った。保育園等で虐待の早期発見を行なうための「おや?おや?チェック票」を作成した。多問題を抱えるハイリスク家庭への援助は保健所だけが支援することは困難で、関係機関と情報交換を十分行い、方針を一致させて行うことが虐待防止となる。このため、情報共有化ツール等を作成した。 |
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厚生労働省が実施した虐待死亡事例の検証で、死亡事例は乳幼児が半数を占め、母子保健の果たす役割が重大であることが示された。児童虐待における中心的役割は調査権限や分離保護の権限を有する児童相談所である。しかし、分離保護される児童はごく一部であり、被虐待児の大半は在宅で支援されるため、子どもに身近な市町村での役割が大きい。ハイリスク家族に対する虐待予防、虐待の早期発見、悪化防止、親支援、被虐待児に対してケアを行い虐待の連鎖を断ち切ることが、子育てを行う家族にとって身近な市町村の役割である。 保健所は、母子保健や精神保健で蓄積しているノウハウを活かして、市町村を支援・指導することと、家庭訪問など保健所が持つ特性を活かして、直接に家族に援助を行うことが可能である。虐待に至らないために、虐待のリスクの高い養育支援家庭を早期発見し、援助介入することで虐待予防を行うために、本研究班ではハイリスク家族への介入、援助のプログラムの実践(図1)について報告する。 1. 発生予防・ハイリスク家族への支援 (1)医療機関との連携による母親支援(岩手県盛岡保健所の取り組み) 盛岡保健所は、岩手県の中央部に位置し、2市5町1村を管轄する県型保健所で平成16年の管内総人口は491,206人で全県の35.2%を占めている。平成15年の管内の一般病院は40ヶ所、診療所は377ヶ所あり、NICUを持つ岩手医科大学附属病院、EPDSを活用し産後のメンタルヘルスに早くから取組んでいる盛岡赤十字病院、岩手県立病院の中でもっとも大きな岩手県立中央病院を有する。 @岩手医科大学附属病院NICUとの連携 岩手医科大学附属病院NICUと連絡会を開催。開催当所は保健所で行っていたが、病院スタッフの参加を多く求める事や担当医師に参加してもらえるように、岩手医大に出向き年間4回開催している。 【会議の内容】 ・多胎児、低出生体重児の退院にむけてなどの情報交換 ・保健所からの事業活動 ・ふたごみつごファミリー交流会、産後のメンタルヘルスの取組み、低出生児交流会等への参加要請、他遺伝相談等保健所業務の紹介など ・NICU入院児及び退院児について、現在の状況、今後の問題点、支援方法等についてケース検討 ・NICUからの報告 ・訪問依頼及び返送の状況、電話相談件数の内容など 【参加者】 保健所及び市町村の保健師とNICU担当医師、NICU・小児科病棟・産科病棟・小児科外来の看護師・助産師で構成 A退院児サマリーの送付 連携システムを構築し、NICUから児の住所地の保健所に退院児サマリーが送付される。 対象者は@極低出生体重児、A退院後も継続看護が必要な児、B育児不安が予想される母親(EPDS得点記載)で、退院時サマリーの送付や訪問の承諾が得られている方。 サマリーには、入院中の経過、退院時の医師からの説明、継続看護事項、新生児クリニックの日時が記載。 図2 連携システムB産後のメンタルヘルス支援システム検討委員会 関係機関がそれぞれ抱えている問題点を話し合いながら、産後のメンタルヘルスケアのあり方を検討し、連携システムを構築していく。検討委員会の立ち上げのために、医療機関従事者、市町村の母子保健従事者を対象として、産後のメンタルへルスの研修会を実施した。 【委員構成】 すずきひろこ心理療法研究室室長(学識経験者)、盛岡市医師会理事、岩手県立中央病院精神科医師、岩手医科大学NICU看護師長、盛岡赤十字病院産科病棟看護師長、盛岡市立病院看護師長、管内各市町村保健師、岩手県福祉総合相談センター児童福祉司、盛岡保健所長 【連携を図るために作成したパンフレット】 @ふたごみつご手帳(保健所ホームページへ www.pref.iwate.jp/~hp1002) A産後のこころの健康(保健所ホームページへ www.pref.iwate.jp/~hp1002) (2)産科医療機関とのEPDSを用いた連携システムの普及(福岡市東保健所の取り組み) 虐待リスクの高いと考えられる養育支援を必要とする母子を早期にスクリーニングすることが、保健機関の早期介入および虐待予防活動となると考えられる。産科医療機関と保健機関が円滑な連携システムを確立することで、養育支援を必要とする母親に対する早期介入が可能となると考えられ、連携システムの構築を図った。 @ 医療機関との連携を図るための連絡会議の開催 管内産科医療機関と連絡会議を毎年開催した。母子事業の紹介、医療機関から紹介された事例の地域で行われる支援の実際などを討議し、産科医療機関と保健所の連携を図った。会議は産科医療機関の医師を対象とし、さらにメンタルへルスの研修や事例研修を産科医療機関勤務の助産師を対象に行った。 A 産科医療機関・保健連携システム(図3)産科医療機関において、入院中にEPDS(*1)、赤ちゃんへの気持ち質問表(*2)、ハイリスク質問表(*3)の3つの自己記入式質問表を実施し、養育支援を必要とする母親のスクリーニングを行い、保健所に情報提供書(添付4)を提出する。医療機関からの情報提供書( 出典*1,2,3 「産後の母親のメンタルヘルスと育児支援マニュアル」平成16年度厚生労働化学研究(子ども家庭総合研究事業)および「産後の母親と家族のメンタルヘルス」母子保健事業団 連絡会議と連携システムによって、ハイリスク要因を有する家族の情報提供がシステム開始以前よりなされるようになり、保健・医療連携による支援の充実が行えるようになった。 2.早期発見・リスク評価 (1) 保健所の相談事業における早期発見(山梨県中北保健所の取り組み) 保健所において、支援を必要とする児の把握として、低出生体重児、養育医療受給児、市町村から相談される処遇困難事例がある。各種別(低出生体重児、養育医療受給児、処遇困難)における支援状況、虐待リスク点数の分布状況、健診結果(終了、継続)と虐待リスク要因点数との関連等を調査検討した。その結果、以下のことがわかった。 @ 低生体重児より、養育医療受給児・処遇困難事例の支援継続の割合が高い。 A 合計点、家庭基盤、親準備性、育児力、子どもの健康問題とも虐待リスク点数平均値は低出生体重児が一番低く、養育医療受給児、処遇困難事例の順に高くなっている。愛着形成だけは養育医療受給児がリスク点数が一番高く、続いて処遇困難事例、低出生体重児と続く。 B すべての項目において、低出生体重児より、養育医療受給児、処遇困難事例の虐待リスク点数の方が高い。 C 家庭基盤の虐待リスク点数が高くなるほど継続が増える。 D 親準備性を除き、合計、家庭基盤、愛着形成、育児力、健康問題のすべての虐待リスクカテゴリーにおいて継続事例の方が虐待リスク点数平均値は高い。 【個別相談から個別支援への流れ】(図4)個別相談から個別支援へ、親子のリスク要因を把握して個別支援へ適切につなぐために有効な体制を構築した。親の子育ての情報収集及びリスク要因の判断は東京都南多摩保健所方式(*4)を活用している。 出典*4 地域保健推進事業「児童虐待予防対策における保健所の役割A関する研究」 子どもの虐待予防スクリーニングシステム活用の手引き 【低体重児のフォロー体系】( 低出生体重児の個別相談から個別支援の体制を構築した。 (2)リスク評価のための情報収集方法(山梨県中北保健所の取り組み) 面接者の経験年数や技術力に左右されず、現場の業務において広くスクリーニングを実践するために、情報を聞き取る技術を標準化した。「保健分野の乳幼児虐待リスクアセスメント指標」(子ども虐待予防地域保健研究会、編集者 佐藤拓代「子ども虐待予防のための地域保健活動マニュアル」61ページ)の評価項目に沿って、これまでの児童虐待に関する知見や経験に基づいて「聞き取りチェック表」を作成した。聞き取りチェック表PDF:30KB 3.連携による悪化防止 (1)機関連携のための情報共有化(神奈川県小田原・平塚保健所の取り組み) 要支援・要保護家庭に対して効果的な支援を行うために、関係機関が必要な情報を共有するために、共通の児童記録様式を作成した。 @ 児童の記録様式の使いかたと流れ 1.通告があるか、又は要支援・要保護の対象児を把握した場合は、様式1(PDF:11KB)のケースレコードに、通告相談者、家族構成、保護者の連絡先などを書き込む。様式2(PDF:9KB)に対象児の経過、問題点など、通告者からの情報を記入する。 2.通告をうけて家庭訪問か面談などにより、家族・対象児から情報が得られたら、様式3〜6(PDF:31KB)にそれぞれ書き込む。様式3-1は、児童の現在の特徴、出生状況、発達の経過を記載する。様式3-2は、健診計測値、入園、入所、入院などがあれば、施設名、期間などを記載する。様式4〜6は、それぞれ父、母、児童と接触する可能性のある両祖父母、兄弟、同居人、近所のサポーターなどについて書き込むようになっている。初回の面談できけなかったことやききにくかったことがあれば、次回以降に聞くこととメモなどをする。 3.初回の接触以降の短い訪問や電話での応答、再三の訪問などは、様式7( 4.様式8( A 児童記録様式作成の効果 1.記録作成が早くなる 2.聞き取りのもれが少なくなる 3.児童、両親、祖父母や家庭環境などのついて、聞き取る必要のある項目で、該当する個所に印をつけるようになっており、聞きもれが少なくなる。 4.児童の記録が散逸しない。それぞれのケースについて、専用のファイルに保管すると、記録が散逸せず、児童の成長に伴う記録を経年的に保管でき、記録を読み返すことも容易となる。 (2) 保育所・幼稚園における不適切養育児の支援システムの構築(神奈川県小田原保健所)@「おや?おや?チェック」表を用いたシステム(図6) 1.管内の保育所・幼稚園での不適切養育児を早期に発見するために、「おや?おや?チェック」チェック表( 2.保育所・幼稚園で、チェック表の30項目の1つ以上にチェックをつけたものは、保健福祉事務所へ返送される。 3.保健福祉事務所へ返送された児童の状況を地区担当保健師と市町の保健師が、該当する保育所、幼稚園を訪問し、詳細な情報を得る。 4.月1回検討会(委員は保健福祉事務所、市町の保健師、児童福祉担当、チェック表を送った保育所、幼稚園の保育士)で、対応を決め、役割分担する。 養育問題は継続しているが虐待はない場合は、保育所等で定期的に観察していく。将来虐待になる恐れがある場合は、保育所が定期的に観察するとともに市町、保健福祉事務所の保健師が相談に加わり、必要に応じて、児童の家庭訪問をおこなう。虐待の疑いがある場合は、市町と連携をとり、児童相談所へ通告する。 A「おや?おや?チェック」チェック表を用いたシステムの効果 相談施設数及び相談件数は増加している。ハイリスク対象児は4歳以下が60%で、養育放棄、ネグレクト傾向が多い。これまで、保育所等で苦慮していた児童について、市町、保健福祉事務所と対応が検討できるようになり、地域の子育て支援ネットワークにつながったり、児童相談所が関わったりと支援の方向が出てきてよかったとの声がよせられている。他機関と相談・連携しやすくなり、親子の状況を把握する目が育ってきている。 (3)ワークショップ形式研修による関係機関の連携(福岡市早良保健所の取り組み) 平成16年度に行なった民生委員児童委員などを対象とした虐待に関するアンケート調査結果から、民生委員児童委員と保育士、教諭は児童虐待について話題にすることも多く、実際に児童虐待と考えられる事例に19.0%の人が関わっていた。早期介入後、民生委員児童委員や保育師と連携しながら、地域で育児支援を行ない、虐待の悪化防止を図ることが必要である。これらの関係者との連携強化を図るために、モデル事例( (実施方法) 参加者全員を6〜8人の小グループに分けた。モデル事例の経過@〜Cの各セッションについて約30分間グループ討議を行なった。討議内容を各セッション毎に数グループに発表してもらい、スーパーバイズと質疑応答を行い、これを4回繰り返す。 関係機関の連携のために行なったワークショップ形式研修では、グループ討議中に参加者は「保健センターに連絡する」「児童相談所に連絡する」という回答になりがちである。そのため、スーパーバイザーが「連絡して、その機関に何をして貰いたいか」考えさせるようにアドバイスを繰り返すことで論議が深まる。 |
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| 平成17年度地域保健総合推進事業 児童虐待防止を目的とした養育支援家庭の早期発見・介入・援助のシステムづくりに関する研究 PDF:18KB 分担事業者 鈴宮 寛子(福岡市東保健所) 「おやおやチェック票」 平成16年度地域保健推進研究 その他の研究報告はここから @児童虐待予防対策における保健所の役割に関する研究 長野みさ子(東京都杉並区杉並保健所 元多摩立川保健所) A児童虐待防止を目的とした養育支援家庭の早期発見・介入・援助のシステムづくりに関する研究 鈴宮 寛子(福岡市東保健所) |
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| 2007年3月6日公開 |
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Japanese Association of Public Health Center Directors・
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