沿革

沿革

 昭和12(1937)年の(旧)保健所法、翌13(1938)年の厚生省設置により、日本の公衆衛生行政組織の体制は整備されてきた。 戦後、昭和21(1946)年に制定された日本国憲法では、国民の生存権とともに、国の責務として社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上及び増進を図ることが明記された。 そのなかで、保健所は昭和22(1947)年に制定された新しい保健所法の下で、健康相談や保健指導のほか、医事、薬事、食品衛生、環境衛生など多岐にわたる行政機能を有し、地域における公衆衛生の向上及び増進を図るための中心機関として位置付けられた。


 設立までのうごき

 全国保健所長会設立の大きな契機は、昭和21(1946)年10月に東京都保健所長会が結成され、その会則第1条に「本会は東京都保健所長会と称し全日本連合保健所長会(仮称)の東京支部をなす」と明記されたことである。これを受けて、東京都保健所長会を中心とした関東近県の保健所長の有志により、全国的組織の具体的な設立方針が検討されはじめた。

 昭和22(1947)年8月には、全国保健所長会結成準備打合せ会が東京都中央保健所で開かれ、会則の原案がほぼ固められた。9月には保健所法が全面改正となり、(新)保健所法が制定された。

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 全国保健所長会の設立

  昭和22(1947)年12月17日、東京都中央保健所において全国の保健所長50数名の参加のもとに設立総会が開催され、全国保健所長会が産声を上げた。

 設立総会では会則の承認と役員の選出が行われ、事務局は東京都麹町保健所に置くこととなった(昭和53(1978)年11月に公衆衛生協会に移転)。

 翌23(1948)年の第2回総会では28都府県の代表が参加した。

 翌24(1949)年には全都道府県に保健所長会が結成され、全国を8ブロックとして名実共に全国保健所長会となった。それまで横の連携のほとんどなかった全国の保健所長の大同団結が図られたのである(沖縄県保健所長会は昭和47(1972)年8月に九州ブロックに加盟)。また、昭和23年には、厚生大臣と役員が会見し、厚生大臣から本会を厚相の諮問機関にしたいとの発言および本会の育成に努力する旨の確約を得たり、全国衛生部長会との懇談においても衛生部首脳者の協力の確約を得るなど、文字通り全国の保健所を代表する組織としての地位を確立していった。

 この時期GHQにより作成された「新らしい保健所」というフィルムでは、時代背景と保健所の役割についてうかがい知ることができる。

  • 動画「新らしい保健所」
    昭和24年制作・戦後の荒廃の中で制定された新「保健所法」に基づき設置された杉並保健所がモデルです。

 

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 総会

 総会は、全国保健所長会の最高意思決定機関である。所長会設立後の数年間は、設立の趣旨(保健所業務の推進、保健所相互の連携の強化により公衆衛生の向上を図る)を全会員に徹底し、組織の基礎を固めるため年に2回の総会が開催された。

 基盤が固まった昭和27年第9回総会(於札幌市)からは、総会を年に1回として日本公衆衛生学会と同時期に開催されるようになり、現在も受け継がれている。

 総会での協議結果は、公衆衛生行政の第一線(現場)からの貴重な意見として要望や決議という形に集約されて厚生労働省や関係機関に提出され、我が国の公衆衛生の向上に大きく寄与している。

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 部会の設置  [ 昭和29(1954)年~ ]

 保健所は、その所在地により8つの地域ブロックに分けられたが、設置主体により昭和29(1954)年には政令市部会が設置された。現在は、指定都市部会、特別区部会及び政令市部会の3つの部会があり、それぞれの型の保健所が抱える課題等について情報の共有や協議を行っている。

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 全国保健所長会賞  (全国保健所長会長表彰)  [ 昭和30(1955)年~ ]

 昭和30(1955)年、保健所に永年勤務し、地域の公衆衛生の向上に貢献が顕著と認められる保健所職員に対し、その労をねぎらうと共に今後の貢献を期待して、表彰を行うこととなった。現在は「全国保健所長会長表彰」となり、総会の場で表彰状と記念品が授与されており、現地の第一線で働く職員の励みとなっている。

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 委員会  [ 昭和43(1968)年~ ]

 全国保健所長会の中に、保健所の向き合う緊急かつ重大な課題に対して委員会を設置し、重点的・集中的に検討が行われるようになったのは、基幹保健所構想が打ち出された昭和43(1968)年の「保健所のあり方委員会」が最初である。以後、各課題に応じて委員会が設置され、その検討結果は報告書にまとめられて厚生労働省や関係機関のみならず全国に公表されている。

 近年の健康危機管理事象の発生や、地域保健を取り巻く様々な状況の変化等を反映した国の地域保健対策検討会中間報告(平成17(2005)年)を踏まえ、同年に「地域保健の充実強化に関する委員会」及び「健康危機管理に関する委員会」の2つの専門委員会が設置されて現在に至っている。


 「地域保健の充実強化に関する委員会」は、地域保健対策の計画的かつ継続的な推進とそれを担う公衆衛生医師等人材の確保と育成を目的として設置された。
 保健所には地域の抱える健康問題を明確化し、地域住民はもとより、関係機関や団体等と協働して、科学的根拠に基づいた対策を計画的に推進するとともに、適時・適切にその評価を実施することが求められている。人口減少や高齢化が進む中、地域包括ケアシステムの推進や健康増進、がん対策、精神保健福祉対策、母子・歯科保健対策等、近年の保健医療福祉に関する社会状況の変化を踏まえ、本委員会では体制や制度に関する様々な協議や検討を行い、必要に応じて国への提言やガイドラインの作成などにより、全国の保健所における地域保健活動の充実と発展に寄与している。

 ⇒ 報告資料等


 「健康危機管理に関する委員会」は地域における健康危機管理体制の推進を目的として設置された。
 厚生労働省健康危機管理基本指針によると、健康危機管理とは「医薬品、食中毒、感染症、飲料水その他何らかの原因により生じる国民の生命、健康の安全を脅かす事態に対して行われる健康被害の発生予防、拡大防止、治療等に関する業務」とされている。また、地域健康危機ガイドラインにおいて、保健所は地域における健康危機管理の拠点として位置付けられている。近年の公衆衛生領域における健康危機管理の対象として、新型インフルエンザ・鳥インフエンザ・デング熱およびエボラ出血などをはじめとする感染症対策や、平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災と、その後の中・長期的な健康課題や生活衛生等への対応など、高度化、複雑化してきている。これらの健康危機管理は、ナショナルミニマムの考え方に則り、国や都道府県、保健所等の公的機関が中心となってネットワークを充実強化し、標準的対策を講じていくことが基本となる。本委員会では、保健所・保健所長や公衆衛生が果たす役割について活発な協議と情報発信を行ない、全国の保健所の健康危機管理能力の向上に大きく貢献している。

 ⇒ 報告資料等

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 研修会  [ 昭和57(1982)年~ ]

 昭和57(1982)年度から、毎年60名~100名の保健所長を対象として、平成8(1996)年まで行われたが、財政的な理由で一時中断された。しかしその後、会員の強い要望等もあり平成13(2001)年度から再開され、現在まで継続実施している。

 最近の全国保健所長会主催の研修会は、年に1回、2日間の日程で開催されているが、テーマはその時々の公衆衛生行政上の重要な課題等が選ばれる。近年は健康危機管理、精神保健福祉、医療と介護の連携、地域包括ケアシステム等に関するものが多い。

 この研修会は、公衆衛生行政をめぐる社会状況や国の政策の動向等について、全国から参加する保健所長の情報共有はもちろんのこと、意見交換の場としても貴重な機会を提供している。

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 保健所法から地域保健法へ  ~保健所のあり方とは~

 保健所の設置やその機能については、終戦直後に施行された(旧)保健所法が長年にわたり根拠法となっていたが、平成6(1994)年、地域保健をめぐる様々な状況の変化に対応するために改正された地域保健法に基づくことになった。また、同年の「地域保健対策の推進に関する基本的指針」の改正により、保健所の管轄する地域が二次医療圏又は介護保険事業支援計画に規定する区域とおおむね一致することが原則とされた。 これによって、全国的に保健所と福祉事務所の統合が進められるとともに(保健福祉事務所等、いわゆる統合組織の増加)、行財政改革や地方分権が進む中で県型保健所数が大幅に減少することになった。

 同時に、平成6(1994)年の地方自治法改正による中核市制度の発足や地域保健法の改正に伴い、政令指定都市・特別区及び政令で定める市に加えて、中核市も保健所の設置が可能となり、都道府県以外の自治体が設置するいわゆる市型保健所数が増加した。また、平成26(2014)年の地方自治法の改正により、中核市への移行の要件が人口20万人以に緩和されたこともあり、今後さらに市型保健所数の増加も予想される。一方、政令指定都市においては、区ごとに設置されていた保健所を一か所に集約する市が増えるなど、近年の全国の保健所数は大きく変動している

 県型保健所と市型保健所間での保健所機能の違い、さらに市型保健所間での保健所機能の違いなど、保健所機能の多様化が進んでおり、現在、当会でも機能の在り方について様々な検討を行っている。

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